第23章 〜鴛鴦の契り〜
家康が引越したことは
政宗から聞いてはいた。
先週の焼肉パーティーで
酔って爆弾発言したらしいこと。
けれど、家康には婚約者がいて
桜奈と付き合うことはないと言うこと。
桜奈もそれを知っていて
例え、周囲にはタダ漏れの想いでも
家康本人は、気付いてなくて
桜奈も気づかれないままを
望んでいたことを後で詩織から聞いた。
(ああ、私、ほんとになんてことしたんだろ
トホホ・・・酒に呑まれるとは・・・)
桜奈がスタッフルームに入ったのを
見届けると
『はぁ〜』と盛大なため息と共に頭を抱え
しゃがみ込む愛花。
『わっ、びっくりした、急に
どうしたんですか、店長』と幸紫。
頭を抱えたまま、えっと振り返ると
幸紫を見て、また『はっ〜』とため息を
ついた。
『人の顔みて、盛大なため息吐かないで
下さいよ。失礼じゃないですか。
はい、立って立って仕事の邪魔っすよ
パンケーキ、店長が焼くんでしょ?』
(店長は、何か知っているんだ
今日、あいつがおかしい理由)
『そ、そうだ、お詫びのパンケーキ
焼かなきゃ!!』
『お詫び?詫びなきゃならないこと
店長があいつに、なんかしたんすか?』
一瞬、鋭い視線で店長を見る幸紫。
その視線に、ビクッとした愛花は
『幸君、か、顔怖いよ・・・どうした?』
はっとする幸紫は
『あ、すいません。なんかあいつの様子が
おかしいから、何かあったのかと
気になって・・・』