第4章 〜初恋〜
『ねぇ、しぃちゃん。しぃちゃんは
好きな人いないの?恋したいとか
彼氏欲しいとかよく言ってるけど
告白受けても、本気で付き合う
雰囲気ないよね、いつも。』
窓の方に顔を向けていたが
視線だけ桜奈に戻して
『えっ?』ギクッとする詩織。
『いやー、ほら、それは、昨日も言ったけど
タイプじゃじゃないからね、ははは』と
乾いた笑いで誤魔化す詩織。
『私もさ、恋愛なんて、正直、あんまり
興味なかったからさ、しぃちゃんの
恋したい恋バナ、若干、右から左で
聞いてきたけど
でも、私が恋してる?のかまだ
分かんないけど、そんな状態になったら
しぃちゃんも、もしかして好きな人
いるんじゃないかって感じがしたんだよね』
と桜奈。
『凄いね!恋すると、今までと視点が
変わってくるんだ!へっー。』と感心しながら
『私にもいるよ、好きな人。桜奈以上に
これ以上ない、完璧な片思いだけど。』と
頬杖をついたまま答える詩織。
『えーっ!!そうなの?誰?クラスの人?』と
身を乗り出した桜奈。
『いや、いや、桜奈じゃないけど
たった2回しか会ったことない人
しかも、一回目は、小学生だったしね。
2回目は、たぶん同じ人だろうって直感だけで
しかも、桜奈じゃないけど、遠目で
見かけただけの人。』
『何それ?初めて聞いた。』と驚きを
隠せない桜奈。