第4章 〜初恋〜
『だって、私だって、桜奈に偉そうに
恋のうんちく語ってるけどさ、恋愛経験なんて
ほぼ無いに等しいわけだし。
実際には、付き合ったこともないのは
桜奈も知ってる通りだし。
桜奈に毛が生えた程度の恋愛知識しか
無かった癖に、クラスの女の子達から聞く
恋バナで、情報量だけが増えていく
単なる耳年増もいいとこよ。
私も、初恋を拗らせてしまってるだけで
今の桜奈みたいに、ドラマや
漫画みたいな偶然なんて起きやしないし
ちゃっちゃと吹っ切って、新しい人
好きになればいいんだけど。
さっきも言ったけど、コントロール不能の
想いだから、自分じゃどうしようもなくて
引きずり放題、引きずって拗らせてるだけよ』
と寂しげな顔する詩織。
『しぃちゃんの片思いの相手ってどんな人?』
『うーん、まぁ、お恥ずかしい
話だから、誰にも言いたくはないけど
私と桜奈の仲だからね。
正直に白状しましょう。
桜奈はさ、覚えてる?小4の時
桜奈ん家とうちの家族で海に行った
じゃない?
そん時さ、浮き輪使って調子に乗って
桜奈と沖の方に行っちゃってさ。』