第4章 〜初恋〜
『そう、自分じゃ制御不能の状態で
色んな気持ちを、強制的に味合わされるよ。
嬉しいも、楽しいも、寂しいも切ないも
不安も嫉妬も相手の言動に一喜一憂して
上がったり、落ち込んだりさ。
それでも、自分で、好きになろうとして
好きになることも、好きになっちゃダメなのに
それを止める事も難しいんだから。
自分の気持ちなのはずなのに
何一つ思い通りできない想いを
抱えちゃうんだよ、恋って』と
言うと頬杖をついたまま
また窓の方に視線を移す詩織。
その姿が、とても大人っぽく
それでいて、どこか寂しげで、詩織なのに
全く知らない人を見ている気分になる桜奈。
(しぃちゃんは、ちゃんと恋したこと
あるんだね。私、知らなかったな
そんな顔するしぃちゃん、初めて見た。)