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また、恋してくれますか。

第23章 〜鴛鴦の契り〜


大丈夫と言う呪文を唱え続けていないと
喪失感の心の穴の中に、飲まれて
行きそうな気がした。

分かっていたこと、仕方ないこと
何度そう言って納得しようとしたところで
空いてしまった心の空洞を埋めることは
できない。

崩れ落ちないように必死に
堪えている自分は、綱渡りでも
しているように不安定で空元気を
出して、バランスをとっているに
過ぎなかった。

とにかく、何も考えないようにしよう。
思いださないようにしよう。
家康さんとの事で、泣くのは
さっきで最後。

(幸せになってみせるといって
サヨナラを言ってきたんだし
もし、万が一、またすれ違うことが
あっても、私が幸せそうにしてたら
家康さんも安心してくれるはず。

そしたら、家康さんも心おきなく
小夏さんと幸せになってくれるはず)

そう思いながら、自分を鼓舞し続け
自分を励まし、倒れそうな自分の
バランスをまた立て直す桜奈。

苦しい・・
じっとしていたら、一人で考え込んだら
心臓を鷲掴みさているように
ズキズキと胸が痛み、息が止まりそうになる。

自分の胸ぐらをぎゅーッとつかみ
眉をひそめ、苦しそうな顔をする桜奈。

(失恋がこんなに苦しいものって
知らなかったな・・・思った以上に
しんどいや・・・ハハ・・・)

また、ふぅ〜っと息を深く吐き
着替えると、何事も無かったように
リビングへと戻り、努めて明るく
振る舞う桜奈

その痛々しいほど健気な姿に
両親も栞も胸を痛めながらも
見守ってやることしか
できなかった。
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