• テキストサイズ

また、恋してくれますか。

第22章 〜ただ一人の人〜


そんな謙心の肩をぽんぽんと叩きながら

『もう、俺たちの子守りは必要ないくらい
桜奈も大きくなったって事だよ。
ちょっとばかし、寂しいけどな。
でも、あんな嬉しそうな顔されたら
俺らなんて、お呼びじゃないんだよ。

桜奈の従兄弟離れを祝って
今日は、帰ったらいっぱいやろうぜ
付き合ってやるよ』

と、励ます秀吉。

『そうかもな・・・いつの間にか
大きくなってだんだな』と、寂しげにふっと
笑う謙心だった。

『謙心お兄ちゃん!大好き!』
『謙心お兄ちゃん!綿あめくるくるーって
してできるよ!すごいね!甘ーい』
『金魚可愛いねー!』

次から次へと、走馬灯のように
幼い桜奈と出店を回った思い出が
蘇る。
ずっと変わらず『お兄ちゃん大好き!』と
小さな手を目一杯伸ばして、花が咲くように
愛くるしい笑顔を向けていた、可愛い従姉妹の
姿を見ていられるはずだった。

しかし気づけば、いつの間にか
大人になっていた。

(あいつのことは、断じて気に食わないが
桜奈があんな顔をさせるのは
あいつだからなんだな・・・)

お呼びでないと言われても
寂しさは隠し切れなかった。

すると、不意に腕を組まれ
『謙心お兄ちゃん、どうしたの?
元気ないよ?』と謙心を見上げて
ニッコリ微笑む桜奈。
/ 978ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp