第22章 〜ただ一人の人〜
初めて桜奈の浴衣姿を見た家康。
(///ドクン///)と胸が高鳴る。
桜奈の舞いの最中に重なった
もう一人の桜奈にそっくりだった。
ぼっーと見惚れてしまう家康の隣で
『やっぱり、可愛いな桜奈!
今日も、好きなもの買ってやるから
早く一緒に行こう!』そう言って
手を引こうとする謙心より早く
桜奈の手を気づけば掴んでいた。
『ありがとう謙心お兄・・・』
と言い終わる前に手をぐいっと握られた
桜奈は、驚き『家康さん?』と
家康を見たが、桜奈を
見ないまま『行こう!』と
手を引いて歩き始めた。
『お前!!ちょっと待て!!』
と言う謙心に
『まぁ、まぁ、ほら行こうよ謙ちゃん。
今日は、栞姉さんが君らにたっぷりと
ご馳走してあげるから!』と
謙心の手を引いて歩き始めた。
やれやれと言う顔で、秀吉と佐輔も
後に続いた。
初めは、何がなんでも桜奈を
奪い返して、一緒に縁日を回ろうと
していた謙心も、桜奈と家康の
仲睦まじい姿と何より今まで見たこともない
桜奈の表情。
家康に恋をしているのだと気づき
ガックリと項垂れた。
好きな人をと言うよりは、溺愛する妹を
取られた気分の謙心だったが
そういう年頃になったのだと
受け入れるしかなかった。