第22章 〜ただ一人の人〜
『はい、お陰様で元気にしています。』
『徳永君は、お医者様だから忙しく
してるんでしょうね?ご立派よね』
『おばあちゃん、家康さんもお父さんと
一緒でお医者様目指してるの。医学生
なんだよ』と、嬉しそうに報告する
桜奈。
『まぁ、そうなの?お父様と同じで
優秀なのねぇ。しっかりお勉強なさって
立派なお医者様目指して下さいね』
ふわりと笑う上杉の祖母は、鷹介にも
桜奈にも通ずるものがあり
似ているんだなとしみじみ思う家康は
『はい。ありがとうございます。』と
返した。
それから、秀吉の父や織田の祖父母や親戚が
入れ替わり立ち代わり、挨拶にきた。
祭りの只中と言うこともあり
ゆっくりはできなかったが
一通りの挨拶を終えると
上杉家の祖父母や鷹介の弟夫婦は
帰ることになった。
『じゃぁね、栞ちゃん。
また近々、うちにも来るのよ。
待ってるわよ』
『うん、おばあちゃん。また近いうちに
みんなで会いに行くね。
おじいちゃんも、おばあちゃんも
叔父さん達も気をつけて帰ってね』
謙心と佐輔だけは、明日の夕方に
帰る予定になっていた。
それから、夜の部の舞も無事終わり
桜奈を中心に従兄弟達と家康は
縁日へと繰り出す事になった。
浴衣を着せてもらい、まとめ髪にして
もらった桜奈。
玄関先で待つ、皆のところへ
栞共に向かった。