第22章 〜ただ一人の人〜
桜奈の反応で、やっぱりそうだったのか
と確信した家康。
『いや、はっきり覚えてたわけじゃ
ないんだけど、あの時の桜奈の
反応で、もしかしたらって・・・』
『動揺しまくりでしたからね私。
今考えても・・・私のファーストキスを
寝ぼけて奪うなんて、ほんと酷すぎですよー。
全く!もう・・・』
むぅっとして見せたがすぐに
『でも、不可抗力ですから仕方ありません・・・
それに、ケーキもご馳走になってお詫びは
ちゃんと受け取りましたから
もう、気にしないで下さい。』
そう言って恥ずかしそうに微笑む桜奈。
(それに、ファーストキスの相手が
家康さんで、良かったって本当に思ってるし
恥ずかしくて、言えないけど///)
それどころか、つい一昨日の朝
キスして欲しいと思ったなんて
絶対言えるわけがない。
『ほんと、ごめんな』
改まって、頭を下げる家康に
『もう、いいですよ!ほら、私も
結構、やらかしましたし!
悪気のないお互い様ってことで』
と、両手をふるふるしながら
謝らないでと気遣う桜奈だったが
『そう言われると、お互い色々
やらかしたよね。桜奈にシャワー
ぶっかけたり、朝から裸見られたり』
『はいー』と、項垂れ、残念な表情になると
『やたらと、つまずくし、履き慣れない靴で
歩行介助してもらうしで・・・確かにそんなこと
いっぱいあったから、私が鈍臭くみえても
仕方ないですよね・・・ハハハ・・・』
乾いた笑いしか出ない桜奈。
(確かに、鈍臭くさそうと思ったよ・・・)
『でも、神楽舞は凄かったな・・・』
家康は、ボソッと呟いた。