第22章 〜ただ一人の人〜
『へぇ、そうなんだ。桜奈って
何月生まれなの?』
『私ですか?私は11月です』
『何日?』
『15日です。』
『ふーん、それで紅葉か・・・』
『家康さんのお誕生日はいつなんですか?』
『俺、俺は1月31日。プレゼントはいつでも
受け付けてるよ』とニヤッとする家康。
『プレゼントですか・・・なんか欲しいもの
とかあるんですか?』
『・・・』(桜奈!なんて、言えないけど)
じっと桜奈を見つめ、心でそう思う
家康だったが、ふっと笑うと
『冗談だよ。俺がプレゼントもらうなら
桜奈の方が誕生日が先だし
先にあげなきゃだろ?それに、来週には
引越しだし、新学期か始まれば
お互い忙しくなるしね・・・』
『あっ、そうですよね。引越しか・・
そうだった・・・
(忘れてたわけじゃないけど)』
食べ終わったアイスのカップを包むように
持つ手に一瞬、力がこもり、寂しそうに
俯く桜奈。
『ほんと、あっと言う間だったな。
でも、俺は楽しかったよ!
初日に、ベッドで襲われて
びっくりしたけど』
『あ、あれは、躓いて転んだだけですよ!
それを言うなら、家康さんだって
寝ぼけて、私のファ・・・』
まで言うと、ピタッと口を噤む桜奈に
『ファーストキス、奪ったくせに?』と
家康が続けた。
目を見開き驚くと
(えっ?覚えてるの?寝ぼけてなかったの?)
あわあわして、なんでそれを!と言う顔に
なって、家康を見る桜奈。