第22章 〜ただ一人の人〜
『どうした?』と優しい笑みで尋ねてくる家康に
///きゅん///となりながら
食べかけのアイスのカップを
バッと差し出し
『ご、ごめんなさい!私ばっかり食べちゃって!
は、半分残ってますから
どうぞ食べて下さい!』
『はっ?』と、呆気にとられる家康。
(へっ?なんで、いきなり?どうした?)
『やっぱり、食べたくなりましたよね?
アイスじっと見てたし・・欲しくなった
んですよね?気づかなくてごめんなさい』と
あせあせしながら申し訳なさそうに謝る桜奈。
『ぷっ ・・・アハハハ!』思いっきり
吹き出したあと、大笑いする家康に
今度は桜奈が
『へっ?』(なんで笑うの?)
お腹を抱えて、小刻みに身体を震わせて
笑う家康に、キョトンとする桜奈。
『あの?家康さん、アイス食べたいんじゃ
ないんですか?』
片手は、お腹を抑えて、もうそれ以上
言わないでと、もう片手は静止するように
桜奈に向け
何とか、落ち着こうとするの家康だったが
ツボってしまい笑がなかなか止まらない。
確かに桜奈の美味しそうに食べる姿が
可愛くて、無意識に見ていたのかも
知れない。
だが、自分が桜奈を見つめる視線が
桜奈には、ずっとアイスを狙ってる
視線だと思われていたのかと思うと
おかしくなった。
(腹いてぇー、ほんと、ど天然には敵わないや。
可愛いって思われてるなんて、1ミリも
思ってないんだろうな・・・アイス狙われて
あげるべきがどうか、悩みながら食ってたの?
そんで、居た堪れなくて半分くれようと
してんの?・・・ダメだ、笑える)
『ククク・・・』桜奈の考えを
想像しては、またツボる家康。
(食べるのかな?早く食べないと
アイス溶けちゃうけど・・・)
家康が何故笑っているのか
全く掴めない桜奈は、
アイスが溶けてしまう心配でいっぱいだった。