第22章 〜ただ一人の人〜
考えこむ秀吉だったが
『さて、そろそろ仕事戻ろっか!』と
栞に言われ
『うん、そうだね。』と言ったがすぐに
『あっ、・・・ねぇ家康君?
もし、やることないなら、祭りの準備に
手を貸してもらっていい?』
桜奈を始め、上杉家の面々が
いたとしても、やはり見知らぬ人が
集まる中で、アウェー感は感じて
しまうだろうと、気遣い
そう声をかけた秀吉。
『俺で、手伝えることがあるなら、是非。』と
手持ち無沙汰を解消できることに
ホッとした様に、返事を返した。
それからは、桜奈は舞の練習に
家康は、祭りの準備の手伝いに
それぞれ時間を費やしていった。
祭りの準備も夕方には、ほぼ終わり
手伝ってくれた、人達を労う為に
夕食は宴会のようになっていた。
わいわいと賑わう大広間から、ひと息つくために
廊下に出てきた家康。
中庭を臨める縁側に腰掛けながら
ぼっーと外を眺めていた。
家康が大広間から出て行くところを見かけ
桜奈は、トイレにでも立ったのかと
思っていたが、なかなか戻ってこない家康を
心配した。
(おじいちゃんち、無駄に広いから
迷ってないかな?)そう思い
探しにでると、すぐの場所で座っている
家康を見つけた。
ジュースを持って家康の傍まで行くと
『はい。どうぞ』と声をかけた。
家康は、声のした方へ振り返ると
『どうも』と、ジュースを受け取った。
『疲れちゃいました?大丈夫ですか?』
と、自分も家康の隣にちょこんと腰掛け
ながら尋ねた。