第22章 〜ただ一人の人〜
一方、自分を抱きしめるよう蹲り
膝の上に顔をのせながら、ため息をつく桜奈。
『ハッー』(あんな耳元で、好きとか・・)
///かぁっ///みるみる火照りだす顔を
両手で押さえ、フルフルと首を横に振り
恥ずかさとこみ上げてくる嬉しさに
どうしていいか分からなくなる。
でも、同時に思う、選んでも
受け取ってももらえない自分の想い。
(結局、選ばれない・・・小夏さんにも
同じこと言われたって言ってたけど
きっと、自分を曲げないんだろうな・・・
家康さんは・・・
両想いなら恋が叶うって思ってたけど・・・
そうじゃないこともあるんだ。
知らなかったな。単純過ぎて
我ながら、笑っちゃうな・・ハハハ)
寂しそうな顔をして膝を抱え考え込んでいた。
(一方的な願いって言っても
きっと、反対するご家族を説得したから
婚約したんだろうし・・・周囲の気持ちを
思ったら、今更くつがえしたりなんて
できるはずもないよね。当たり前だよね・・・
期待なんてするべきじゃない。
するだけ自分が惨めになる・・・。)
そう結論付けた
桜奈の瞳には
家康とは、反対に諦めが漂っていた。
(このまま、家康さんの引越しとともに
サヨナラしなきゃ・・・
家康さんの、譲れない気持ちが分かったし。
家康さんに告白もしてもらえた。
これ以上想い続けても私の気持ちは
家康さんにはきっと重荷ににしかならない・・)