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また、恋してくれますか。

第22章 〜ただ一人の人〜


せっかく、通じ合った想いは、また微妙に
すれ違ってしまった。

家康もとっくに気づいていた
自分が拘り続けることが
全ての関係性を拗らせ、難しくし
幸せから自分を遠ざけているのだと。

もはや、拘りではなく信念に近いものに
育ってしまった想いを、今更どうにも
できないと言うのも正直な
気持ちでもあった。

目と鼻の先に、これまでの人生で
一番欲しいものがありながら
手を伸ばせば、手に入れらる距離にいながら

自分の拘りのために、わざわざ迂回し
遠回りし手に入れようとしている
ようなものだった。

更に言えば、たどり着けたとしても
もうそこには、消えて無くなって
二度と手に入らないかも知れない
桜奈の心。

なんの保証も確約もありはしない。

それでも、自分を許す作業の為に
近道を選ぶことなどできない。

何故なら、許せない自分のまま
桜奈の側にいられることになったと
しても、その幸せを心から喜ぶことが
できないだろうことは家康の中で
はっきりしていたからだ。

そんな自分では嫌なのだ。
もし、桜奈の側にいることが
叶う日が来るなら、心から喜び
幸せ溢れる自分でいたい。

何のしがらみもない、制限もない
ただ、ただ、側にいられる幸せを
純粋に感じられる自分として
再び、桜奈の手を取りたい。

真っ新な自分として、桜奈だけを
見つめ続けられる自分になって
桜奈の心を手にいれたかったのだ。

部屋を出た家康は
(待っててくれなくても、必ず迎えにいく
これは、俺の一生の賭けだ。でも必ず勝つ。
勝って、俺は桜奈との
幸せを手に入れてみせる!)
握り拳にグッと力を込め
心に固く誓った。

家康の瞳には、もう迷いはなかった。
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