第22章 〜ただ一人の人〜
『ふふっ』と笑う家康に
『な、何がおかしいんですか!?』
とムッとした桜奈は、またタオルを
外しキッと家康を睨んだ。
『あー、ごめん、ごめん。なんか嬉しくて
俺以上に俺の幸せを願ってくれてる人が
ここにもいてくれたと思ってさ・・・』
『ここにも・・・?』
『うん、ここにも・・』
優し気に微笑むと
熱を帯びた眼差しで愛おしそうに桜奈
を見つめ、大切なものに触れるように
桜奈の頬にそっと触れた。
そのまま、一房の髪を手に取る家康。
吸い込まれるように、目が離せないまま
///ドクン///と鼓動だけが跳ね上がる桜奈。
『今日、小夏に呼び出されて
同じようなこと言われた。』
それから、はっーとため息をつきながら
桜奈の肩にこてんと頭を乗せると
『俺は、桜奈といる時が一番幸せ。
だけど、小夏が幸せじゃないと、俺は
自分を責め続けてしまう気がしてた。
だから、何より小夏の幸せを
優先しようと思った。
桜奈が言ったみたいに、俺の幸せ
なんてどうでもよくて、小夏の為なら
なんだってして、一生を懸けて償うつもり
でいたんだ。
本音では、俺が罪悪感から逃れれたいのが
一番の理由だったんだけどね・・・
でも、それが小夏を返って苦しめてることに
やっと気づいたよ。
小夏の幸せの為って言いながら
小夏にずっと気を遣わせてたんだよ・・・。
それから俺なりに、自分の幸せを考えた。
そしたら、桜奈に
自分の気持ちを知って欲しくなったんだよね。
だけど、今度はそのせいで、桜奈を
傷つけて泣かせてしまうし・・我ながら
情けないよ・・・
でも、桜奈がそんな風に俺を想ってくれて
今、めちゃめちゃ嬉しいよ、ありがとう』
(俺の幸せは、桜奈と一緒に
いることなんだよ。)