第22章 〜ただ一人の人〜
Σはっとする桜奈は、慌てて
タオルを目に当てなおすと
『す、すみません。なんか腹が立ってきて・・
私はずっと家康さんに
///か、片想いしてたから・・・///
家康さんが小夏さんを好きで
小夏さんも家康さんを好きで・・・
それで結婚して、家康さんが幸せになるなら
私のは、ただの片想いで終われるって・・
それでいいと思ってました。
それが正しいんだって・・・
それなのに・・・』
そのまま、押し黙る桜奈。
家康が幸せになるのなら、そんな想いだけを
支えに必死に家康を諦めようとしてきた桜奈。
なのに、当の本人は自己犠牲だけで
自分の人生を蔑ろにしようとしている
ように見えて、腹が立って仕方なかった。
目に当てたタオルをググッと握りしめ
黙ったままの桜奈を見つめる家康は
『それなのに・・・?』と桜奈に
話すよう促す。
『私なら、そんなの嫌です。
自分への負い目で、人生を棒に振ってまで
尽くしてもらっても、私ならとても幸せには
なれない気がします。逆に、苦しいです。
だって、好きの種類は違っても
家族で、大切な人に変わりない。
そんな大切な人が、自分のせいで
幸せになれないって、それがどんなに
悲しいか家康さんが一番わかってたはずじゃ
ないんですか?
だからこそ、家康さん自身の幸せも
ちゃんと考えて欲しいんです!』
(そうでないと、私も諦められないよ・・
なんか、悔しいもん・・・)