第22章 〜ただ一人の人〜
『政略結婚で、一方的な願い・・・?
それでも家康さんは
幸せになれると思ったから
結婚を決めたんですよね?』
(家康さんが、悩んで、苦しんで
それでも幸せになれるって思って
選んだ道だったならそれで・・・)
『うん、小夏を幸せにする為にね・・・』
(何それ・・・自分のことは?)
桜奈は、激しく首を横に振り
泣き腫らした目で、真っ直ぐ家康を見つめると
『そうじゃなくて!それで家康さんが
幸せになれるのか、どうかの話を
聞いてるんです!!』
キッと挑む様な目で、珍しく声を張り上げた。
(小夏さんの為、家の為って、じゃ自分の
幸せはどう、思ってるの?)
桜奈の勢いに、一瞬たじろぐ家康は
『お、俺?俺は、小夏が幸せになれば
嬉しいし、幸せだと思う・・けど・・』
(嘘だ!!)そう直感した桜奈は
『けど・・なんですか?本当にそう思って
ますか?自分のことは、どうでもいいって
思ってませんか?自分の幸せなんて
別になくったっていいって思ってませんか?
小夏さんさえ幸せにできたら
自分はどうなったって、構わない!
本音では、そう思ってますよね?
どうなんですかっ!!』
なおも、厳しい表情でジリジリと近づき
家康を問い詰める桜奈。
(えぇー、桜奈って、こんなキャラ
だっけ?なんか、怖いんですけどぉー)
あたふたしながら、両手を前に出して
ガードするようにしながら
後ろへと仰反る家康。
『桜奈?ちょ、ちょい落ち着こうか・・
な?・・お、落ち着いて!』