第22章 〜ただ一人の人〜
けれど、その傷心を支えて
家康を好きになって、家康も憧れの人だから
結婚の約束をしたのだろうと思っていた。
お互いに想いが通じ、愛し合って
結婚する。
それが桜奈の結婚の概念だった。
家康のそれは、桜奈の思い描く
結婚の形とはかけ離れて理解できなかった。
『えっ?えっ?小夏さんも家康さんが
好きで、家康さんも憧れの人で
だから結婚するんじゃ・・・?』
『ああ、まぁ普通は、そう思うよね。
でも違うんだ。小夏は、今でも変わらず
その人を想ってる。
お、俺のは・・・桜奈が知ってる
通りだし・・ボソボソ』
目元を赤くしながら、目を泳がし照れる家康。
(///うわぁーダメだ、改めて思い返すと
かなり、恥ずかしいー!!///)
『結婚って・・・好きだからするんじゃ・・』
(えっ?お互い別に好きな人がいて
結婚するの?えっ?どう言うこと。)
家康の背中を見つめながら
混乱する桜奈。
すると、ふぃっと桜奈の方を向いた
家康は、タオルを持つ桜奈の手を
また目元に当てながら
『まだ、目腫れてる。ちゃんと当てといて』
そう言うと
『世の中には、政略結婚って言葉もあるだろ?
お互い親の決めた相手に従って、家の為や
会社の為に結婚する人もいる。
俺は、結婚してから小夏と夫婦として
新しい関係になって行ければいいと思ってた。
結婚は、みんな反対だった。
小夏も徳川の伯父も伯母も
うちの両親も兄貴もね。
俺の独りよがりな、一方的な願いで
受け入れて貰ったんだ。
小夏の為もあるけど、徳川の家の
存続の為にも結婚して、徳川を継ぐつもり
だったんだ・・・』
(なんで、あんなに徳川の家に拘ったのかは
今でもよくわからないけど・・・)