第21章 また、恋してくれますか。
自分の告白がどれほど、身勝手なのか
分かっていた家康。
(ごめん、苦しめて、ごめん・・桜奈)
身体を小刻みに震わす桜奈を
更にぎゅっと抱きしめ続けた。
どれくらい、そうしていただろう。
家康の胸に手を当て、家康の腕の中から
自分を引き剥がし、届かない想いを
ぶつける覚悟を決めた。
涙を拭いながら
『やだなぁ、家康さんが私のこと思って
くれてたなんて、全然、知りませんでした。
好きって言う割に、今までだいぶ意地悪された
気がしますけど?』と真っ赤な涙目で
クスッと笑う桜奈。
『あー、ほらあれだよ。好きな子に
意地悪したくなる、子供の心理・・的な?』
目元を赤くしながら、目を泳がせる家康に
『ぷっ、小学生かっ!!』
と突っ込みを入れると
『返事は、凹むから要らないって
言われましたけど・・
でも、日頃の意地悪の仕返しです。
よーく聞いて下さい!
私も、出会ったあの日に、家康さんに
一目惚れして、気づいたら好きに
なってました。
私の生まれて初めての恋です。
それで・・今は、告白されたのに
好きだって返したのに、何故か振られた気分です
えへへ、おかしいですよね・・両想いなのに』
一瞬、また泣きそうになる自分を
奮い立たせるように、にっこり微笑むと
『初恋は、実らないってほんとですね・・・
でも、大丈夫です!心配ご無用です。
私は、また誰かに、ちゃんと恋します。
私の重ーい恋愛観念はきっと変わらないから・・
今度こそ、一生側にいられる人に恋します!
家康さんに負けないくらい、優しい人に
恋して・・それで・・』と
どんどん、苦しそうな顔になって行く桜奈。