• テキストサイズ

また、恋してくれますか。

第21章 また、恋してくれますか。


信じられない表情のまま、涙目で家康を
見つめる桜奈。

手を伸ばし桜奈の涙を拭う家康。

『ごめん。泣かせるつもりはなかった。
婚約者がいるくせに、他の人を好きになる
なんて、不誠実で軽蔑されても仕方ないよね。』
困った顔で笑う家康。

ふるふると首を横に振る桜奈。

『しかも、いきなり告白して、桜奈を
困らせてるよね・・・
でも、知っておいて欲しかったんだ。
俺の気持ち・・・だから、返事はいらない。
ズルくて卑怯だって分かってるけど
引越しする前に、俺の気持ちを知って
欲しかった・・・ほんと、ごめん。』

そう言うと、桜奈の肩にこてんと
頭を乗せた。

『わ、私も・・・』と言いかけた桜奈を
家康は、そのまま、ぎゅっと抱きしめた。

『お願い、何にも言わないで・・・
桜奈の気持ちを聞いたら
俺、きっと凹むから・・・』

(ほんっと、ズルイ奴だな俺・・・)

『そんなことは・・・あっ、・・・』
そう言ったきり、桜奈は
自分の気持ちを伝えることを踏み止まった。

(そっか答えは、いらないんだもんね・・・
婚約者さんがいることは、変わらないから・・
好きって言われて、こんなに嬉しいのに・・・
私の気持ちは、やっぱり届かない・・)

告白を受けたのは、自分なはずなのに
嬉しくて仕方ないはずなのに
切なくて切なくて、涙を堪えようと
する桜奈。
唇を噛み締め、身体は小刻みに震えていた。
/ 978ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp