第21章 また、恋してくれますか。
帰宅してからも、二人で仲良く料理し
二人でそれを食べ、二人で後片付けする。
そんな、当たり前の日常の一コマも
好きな人と過ごせば、それは特別な時間。
永遠ではない、限りある時間だからこそ
その幸せの輝きは、眩しいほど
心を照らし、その熱で温かさに包まれる。
(これが、幸せってことなのかも知れない)
食器棚に食器をしまいながら
家康は、下宿したばかりの頃を思い出していた。
隣で、同じく食器をしまう桜奈を
見つめる家康。
その視線に気付いた桜奈は
『ん?どうしたんですか?私の顔に
なんか付いてます?』キョトンとしながら
尋ねてくる。
『いや、ここに来たばかりの頃
食器片付けながら、運命の出会いなら
良かったのにって、言ったの覚えてる?』
『ああ、ありましたね。そんなこと』
(忘れることなんて、できないよ。
私は、運命であって欲しかったもん)
そう言うと、また、切なげに微笑む桜奈。
『そう!その顔!』
『えっ?どの顔?』とまた何か顔に出て
いたのかと、両頬に手を当てる桜奈。
『あの時、今以上に凄い辛そうな顔
してたんだよ。笑ってるのに
俺は、胸が締め付けられる気持ちになった。
体調が悪いのかってマジで心配したよ。
でも違ったんだね・・・。』
『?』小首を傾げ、家康が言わんとする意味が
掴めない桜奈は
『違ったって何が?』