第21章 また、恋してくれますか。
さっと避ける家康。
『あっ!こら!』と言う小夏に
『同じ手を二度もくうかよ!』と
ニヤっとする家康。
ぐぬぬと悔しそうにする小夏だったが
ふふふと笑い出した。
(なんか、少しでも気持ちが軽くなって
くれたかな?)と思っていたが
『ってことで、光秀さんと上手く行かなかった
場合の俺は保険だから、婚約はまだ解消は
しない。それでいいよね?
俺と婚約解消したいなら、全力で光秀さんを
ものにしなよ。でないと俺は、ずっと付き纏う
からね!』
(一番、大事な人とちゃんと幸せになってよ。
そしたら、俺は喜んで婚約解消するよ)
『何!そのストーカー発言!!こわっ
わかったわよ。こんな可愛くない弟に
付き纏われないように、光秀と話をするよ。
ほんと、頑固だよねー。
でも、ありがとうね、家康。
あー、スッキリした!来てもらってよかった。』
と、決心を固めた小夏は、いつもの小夏に
戻っていた。
すると、コンコンとドアがノックされ
『お嬢様、昼食の用意が整いました』と
家政婦さんの声がした。
『はーい。今行くねー』と返事をすると
『家康も、お昼まだだよね?
朝っぱらから呼び出して悪かったね!
お昼食べに行こう!なんなら夕飯まで
ゆっくりしていきなよ。』と言う小夏に
『あー、お昼ご馳走になったら
すぐ帰るわ、俺、午後から用事あるし・・・』
と、一瞬目を泳がす家康を見逃すはずもない
小夏は
『ふーん・・・用事ねぇ?
そんな大事な用なんだ?
婚約者の誘いを蔑ろにしても、済まさなきゃ
ならない用事って
どんな用事なのかしらねぇ?』
流すような視線でニヤニヤと見つめてくる小夏。