第21章 また、恋してくれますか。
頭を抱える家康をぎゅーっと抱きしめる小夏は
『ばっかだねぇ、それは最低って言わない
あんたは、優しすぎるんだよ。
超、捻くれものだけど、誰より優しい。
だから、苦しむんだよ。
あぁーぁ、こんなに苦しめるなら
あん時、助けなきゃよかったかな?』
と、涙目でクスッとする小夏に
『えっ?』と、ギョッとする顔をする家康。
『ぷっ、あはは、冗談に決まってるでしょ!
あの時は、もう無意識よ。本能みたいなもん。
何も考えられなかった。勝手に身体が動いてた
でも、それはきっと、気づいたのが阿茶子でも
家康でも、同じ立場ならそうすると思わない?
家康は、自分を最低って言うけど
もし、家康が私と同じ立場だったら
絶対、私を助けたでしょ?』
『どう・・かな・・?』と、天邪鬼になる
家康。
ピシッ!っとデコピンされ
『いってぇ!』とおでこを押える家康。
『可愛くない!』と冷やかな視線を送る
小夏だったが、すぐにふっと頬笑み
『絶対、助けるわよ!
私が怪我をしなかったら・・
かっこ良く、助けられてたなら
今頃、家康の命の恩人は、この私!!って
胸張れたのにな・・・。
そしたら・・・あんたをこんなに
苦しめずに済んだのに。
ごめんね・・無傷で助けてやれなくて・・
私こそ、家康の人生めちゃくちゃにして
しまって、ごめん・・・』と
肩を震わせ、自分の胸を鷲掴むように
しながら、むせび泣く小夏。
家康もまた、自分が抱えた罪悪感が
別の形で小夏を苦しめていたことに
やっと、気づいたのだった。