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また、恋してくれますか。

第21章 また、恋してくれますか。


『だからね・・・家康。
婚約の話は、なかったことにしたい。
私はこの先もきっと、光秀しか見えない。
でも、家康も大切な家族。

幸せはさ、どちらかが犠牲になって
どちらか一方が、得るものじゃないでしょ?

家康を犠牲にして、私だけ幸せになれる
はずなんてないんだよ?
分かってくれるわよね?家康。』

(あんたが、私を想ってくれてるように
私だって、あんたの幸せ願ってるって
気付いて!)

しかし家康は、首を縦には振らなかった。
『婚約は、解消しない。絶対に!』
真っ直ぐに、小夏を見つめる家康の瞳には
揺らぐ事のない決意が宿っていた。

『なんで!どうして?
自分の人生を大事にしなよ!』
家康の両腕を掴み、揺さぶるようにして
訴える小夏。

『だめなんだよ・・・小夏の為とか
言ってるけど本当は違う。
俺は、俺の為に結婚をしようって
言ったんだよ!そうでないと
自分を許せそうにないから・・・

小夏を支える振りをして、俺は!・・
俺は・・自分を救おうとしてるだけなんだよ!
小夏は、俺の自己満足に利用されてるだけ・・
最低なやつなんだよ・・俺は・・・』

頭を抱えながら、苦しそうに眉を潜め
唇をかむ家康。

(俺・・・ホント、最低だ・・・)

言葉にしたことで、自分の奥底にあった
本心が白日の下に晒されたような
羞恥が駆け巡る。

どちらにしても、最低なやつだと
自分が自分を責め立てた。
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