第21章 また、恋してくれますか。
怪我をしてから、たった一度しか見舞いに
こなかったことも、知っていたし
それでもなお、光秀を庇う小夏の姿に
自分が小夏から足だけでなく、大切な人まで
失わせてしまったのだと痛感したのだった。
それからは、小夏を側で支えて生きて行く。
そう言う気持ちへと、当時はどんどん傾いて
行ったのだった。
(待ってなくても、必ず迎えに行くって・・
それって、今でも気持は変わらないってこと?)
スマホを見つめたまま、考えこむ家康。
『家康?』
『ああ、ごめん。小夏はなんで、待たないって
送ったの?本当は、会いたいでしょ?』
『うーん、家康には言ってなかったけど
手術が終わって目が覚めた時、光秀が
手握っててくれたの。
たぶんずっと側にいてくれた気がする。
麻酔がまだ効いて朦朧としてたんだけどね
その時に光秀言ったの、『待ってろ』って。
だけどその後は、一度も会えないまま
留学しちゃったから、『待ってろ』の意味は
不明なままだった』
『待ってろ必ず迎えに行くってことは
普通に考えて、小夏のところに帰って
くるってことだろ?』
『まぁ、そう意味にとれるわよね?
私、待ってろって言われたって
待つつもりなんてないわよ。
あの人の足手まといになるくらいなら
別れた方がましだと思ってたし
今もそれは変わらない。
それは家康に対しても同じだよ。』
(誰かのお荷物になって生きるのはイヤだもの。)