第21章 また、恋してくれますか。
徳川邸に到着し、ピンポーンとチャイムを
押すと『はい』とお手伝いさんがインターホン
越しに対応し
『家康ぼっちゃま!
すぐに門をお開けいたします』と言うと
門が自動で開いていく。
小夏の家は、代々製薬会社として成功を収めて
いる家で、小夏は正真正銘のお嬢様なのだ。
小夏の部屋へと通された家康。
コンコンとノックすると
『お嬢様、家康ぼっちゃまが
お見えになりました』
と家政婦さんが言うと
『あっ、入ってー』と中から声がし
部屋へと入る家康。
『ごめんねー?わざわざ来てもらって』
『ほんとだよ、俺にも都合ってものが
あるんだけど!で、今日は何?俺この後
予定があんだけど・・・』やれやれと
言う表情で答える家康。
『あはは、ごめん。ごめん。
実は相談したいことがあって、ここ何日か
ずっと考えてたんだけど、どうしたものかと
わかんなくなってさ・・・あのね、光秀から
連絡が来たの・・』と
『えっ光秀さんから?今更なんで!?』
『まぁ、本当に今更なんだけどさ・・これ』
スマホを見せた小夏。
光秀: 待ってろ
小夏: 待たない
光秀: 待ってなくても、必ず迎えに行く
とだけの、やりとりだけしかなかったが
光秀が小夏を見捨てた訳ではなかった
ことに、嬉しい気持ちがこみ上げてきた。
それからすぐに、だったら何故、小夏が
苦しんでる時に側にいてやらなかったんだ!
と憤りも感じ始めた。
周囲には、小夏から婚約を解消したと
小夏自身が吹聴して、健気に光秀を庇っていた。
光秀の評判に傷がつかないようにと
誰よりも気遣っていた。