第21章 また、恋してくれますか。
だが、もし本当に桜奈が自分を
想ってくれていたなら
それは、小夏の存在を告げた時から
自分がずっと桜奈に与え
続けてしまった痛みでもある。
今は、消えそうにも、忘れそうにもない
自分の想いと、桜奈の想いが
同じであって欲しい気持ちと
自分のことなど、さっさと忘れて
幸せになって欲しいと言う気持ち。
矛盾を抱えてしまうのは、どちらも本心が故。
複雑な家康の心は、揺れ続けていた。
今日はなんだか、いつもより元気がないように
見える家康が気になってきた桜奈。
(家康さん、何か元気ない?
今日は、乗りきじゃなかったのかも
私が勝手にみんなで焼肉にしようって
誘ったから、きっと私に合わせてくれたんだ
ろうな・・・悪いことしちゃったかな?)
桜奈も本音は、二人で過ごしたかった。
でも、今朝の盛大な勘違いを考えると
居た堪れない気まずさが、ぶり返してくる。
(まつ毛とってくれただけだったのに・・・
キスを期待するなんて・・・あーもー
思い出しただけで、恥ずかしくて軽く死ねる)
///かぁっ〜///
家康のきな粉餅に、仕上げの黒蜜をかけながら
どんどん、真っ赤になって行く桜奈は
さっきの詩織のように、パタパタと顔を煽いだ。