第21章 また、恋してくれますか。
そんな思いに、駆られている間に
桜奈がお手洗いから戻ってきた。
家康の苦し気な表情に気づいた桜奈は
『ん?何か、ありました家康さん?』
(ハッ!今、俺どんな顔してんだ?)
『えっ?何?』と何事もなかったように
聞き返した。
『何か、辛そうに見えて・・
あっ!焼肉食べすぎました?
私も、お腹いっぱいです』
と、ニコニコすると、今度は政宗を見て
『でも、デザートは、別腹ですからね!
いつでも、入る余地は残ってますよ!政宗さん』
と握り拳を作り挑むような顔で
遠回しにデザートを催促した。
『ぷっ、食う気満々じゃないかよ。
腹いっぱいじゃないのかよっ!
じゃ、そろそろお楽しみのデザートにするか!』
とニッと笑った。
『やったー!
すっごく楽しみにしてたんですよー』
期待に胸躍らすように
満面の笑みになる桜奈。
桜奈のその無邪気な姿に
クスッと微笑み、愛おしそうに
桜奈を見つめる家康。
その眼差しに気づいた詩織も政宗も
さっきの話で意識して見ていたせいか
尚更、はっきりと見える気がした。
(こう言う眼差しを愛ちゃんが俺に?
いや、全然気づかなかったわ)と思う政宗。
詩織も(さっきは桜奈が徳永さんを
見てる眼差しの話したけど
徳永さんの桜奈への眼差しも
気をつけてみたら相当、分かりやすわ。
あー、私もあんな視線送ってたのかな?
目は口ほどにものを言うって
こう言うことだわ!気をつけなきゃ)
と、自分がどんな顔で信長を見つめて
いたのかと想像し、恥ずかしさに
火照っていく顔をパタパタと手で
扇いだ。