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また、恋してくれますか。

第21章 また、恋してくれますか。


一方で、なんのことか、腑に落ちない家康は
『はっ?全く、分かんないけど?
桜奈を俺を見てる時と
どう関係すんの?』と詩織に詰め寄った。

『あー、やっぱり自分に向けられてる
眼差しには気づきにくいか・・えっとですね
徳永さん、さっきの店長の話で
桜奈が徳永さんをどう想ってるか
なんとなくでも、気づきましたよね?』

(あー、気づかれてる。気づかないふり
したのに・・・)と思いながら

『さぁ、本人から聞いてない以上
本当にそうかも俺には分かんないし
仮にそれが本当でも、俺が気持ちに
応えられないのは知ってんでしょ?』
と家康は言葉を濁した。

『知ってます。だから気づかないふりして
くれて、助かりました。』

『えっ?家康、お前、小夏さんのこと
話したのか?』

『ああ、とっくの昔にしてあるよ。』
(話すつもりなんて、ほんとは無かった
けどね・・・そう言えば、あの時も
突然、涙流してた・・なんだよ
今考えたら、そう言うことだったのかって
全部、繋がるわ・・はっー)

寂しそうな、苦しそうな表情で
桜奈の言動の一つ一つを
思い返す家康。

もっと早く出会えていたなら・・・
何か違っていたのだろうか。
考えたところで
どうにもならない過去に
やりきれない気持ちが込み上げる。

桜奈の気持ちが分かり
一瞬でも満たされたはずの心は
すぐに、別の苦しみの種となった。

この手を伸ばしたなら届いたかも知れない。
今頃、二人で笑い合えていたかも知れない。
そんな口惜しさが、家康の中で膨れ上がり
心が押し潰されそうになる。

選ぶ事など許されないと自ら閉ざして
しまった桜奈との未来。
そんな未来を今更、夢見てしまう自分が
かっこ悪くて、情けないと感じる家康だった。
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