第21章 また、恋してくれますか。
政宗より6歳も年上の愛花。
短大を卒業し、専門学校に1年通い
社会人になってからは
恋愛には興味なし。仕事が恋人。
いずれは独立して
自分の店を持ちたい。
そう周りには、吹聴してやってきた。
本当なら、就職先も違うところを
選ぶつもりだった。
だが、親同士も大の仲良しで
もちろん、うちに就職してくれるんでしょ?
と政宗の両親は期待してくれた。
いつも娘のように可愛がってくれる人達の
期待を裏切り違うところに就職したいとは
言えなかった。
そして、流されるように、就職したが
一刻も早く、独立したかった。
いや独立したいと言うのは建前で
本音は、政宗から離れたかったのだ。
愛花は、自分のことをずっと気持ち悪いと
思ってきた。
初めは、政宗を本当の弟のように
思っていた。
愛ちゃん、愛ちゃんと懐いてくれて
可愛くて仕方なかった。
けれど、中学生になると
どんどん、背が伸び、声変わりし
骨格が男の子から男性へと変化して行く。
男らしくなって行く政宗は
自分が弟のように思っていた政宗では
なくなっていた。
愛花は知らぬ間に、政宗を男性として
意識するようになってしまったのだ。
大学生が、中学生を好きなんて
普通じゃない、気持ち悪い。
愛花は、自分の抱いた想いが
異質なものだと感じて
一時期、真剣に悩み
政宗を遠ざけようとした頃もあった。
しかし、そんな愛花の気持ちなど
知る由もない政宗は、相変わらず
愛ちゃん、愛ちゃんと変わらずに
慕ってくれる。
このままでは、いつ自分の気持ち悪い
感情を晒して、軽蔑されるか分からない。
嫌われてるくらいなら、幼馴染みの
姉のままでいい。