第21章 また、恋してくれますか。
タレが真っ赤になる程
七味をドバドバかける家康に
『あぁー、俺の絶妙な配合にした
タレがぁ〜』と政宗は、ため息をついたが
そんなことを意に返さない家康は
焼肉をタレにひたし、口へ運ぶと
『やっぱ、こっちの方が美味い』と
言って満足そうにした。
『凄いね!家康君って、かなりの辛党なんだね。
桜奈ちゃんから、聞いてた以上だわ』
家康の七味のかけっぷりに驚く愛花は
そう言った。
『へぇ、バイトで桜奈が俺の話なんて
するんですか?』と、さり気なく愛花に
尋ねながら、流すような目で桜奈をみた。
ドキッとする桜奈。
(別に、悪口言ってるわけじゃないし
好きだって思われるようなことも
言ってないはず・・・言ってないよね?
いや、言ってない、言ってない、大丈夫。)
愛花に家康の話をする時の自分を
思い出し、大丈夫だと落ちつかせよう
とした桜奈だった。
ところが
『うん、ほら、桜奈ちゃんも徳川家康
好きでしょう?徳川家康も辛いのが
好きだったって桜奈ちゃんから聞いて
初めて知ったのよ。
で、家康君も辛いものが好きでぇとか。
まぁ、そんな感じで
とにかく徳川家康の話をする時は
必ず家康君の話も絡めてくるわけよ。
家康さんはーって言ってさ。
下宿とは、聞いてたけど
同じ屋根の下にいたら、そりゃ
意識もするし、好きにもなるよねぇ?
付き合ってんでしょ二人?
桜奈ちゃん、徳川家康も大好きだけど
家康君のことも、ほんと好きなんだなーって
思えてきちゃってさー、ラブラブで
羨ましいと思って聞いてたんだよねー』と
サラッと爆弾発言を投下したのだった。
ピューッ、ピキッ!カキン!
場の空気が一瞬で氷ついた。