第21章 また、恋してくれますか。
『うわぁー、愛ちゃん相変わらず、容赦ねぇ。
だいたいさ、俺がどんだけ新メニューに
貢献してると思ってんの?
まだ学生の俺に、このキッチンの
対価払え、金が払えないなら
仕事で返せて言うんだぜ!
親父もお袋もほんと、愛ちゃん並みに
容赦ねぇし。
それなのに、親の七光で楽々手に入れた
みたいに言われて、超、可愛そうじゃん俺。』
と、愚痴る政宗。
(そうだ、政宗んとこの、おじさんもおばさんも
仕事に関しては、甘やかす親じゃないからね。
普段は、甘々な癖に線引きは、きっちり
してるんだよねー)
『あー、そうでした。あまりに嫉ましくて
ついね。許せ!
えー、でもいいなぁ!
このキッチン、すっごくいい。』
目をキラキラさせながら
舐めるように見回す愛花に
『だから、言ってたじゃん。
いつでも使えって。いつでも来ていいって。
なんなら合鍵だってやるよっていってんのに。
俺と愛ちゃんの仲だろ』とニヤッとするが
『あー、なんかね。なんだろう、こうね
罠の臭いがするんだよねー。
うっかり罠に嵌ったら、ジビエにされそうな
危険な感じ?
大体、あんたがなんの見返りもなしに
そんな親切を私にするとは思えなくて』と
ジトーっと不信の視線を送った。
『ひっでぇー!
あーもういい、愛ちゃんが
俺の親切を信じられないなら、キッチン
は使わせてやんねー。
今の話はなし、なし!』と
子供のように拗ね、手を動かし始める政宗。