第21章 また、恋してくれますか。

桜奈から焼肉屋の相談を受け
瞬間的に、閃いたのだった。
あんなに会わせろと言っていた
家康をエサに愛花を釣れないかと。

その前に、桜奈を釣らなければ
ならなかったが、桜奈は簡単だろうと
思った。案の定、スイーツ好きの桜奈は
本人は違うといったが、デザートのワードに
すぐ食い付いた。

桜奈が釣れれば、家康も釣れる。

家康が釣れれば、愛花が釣れる。

政宗の思惑は、計画通り進んだ。

ただ、自分を差し置き、家康に興味深々なのは
やっぱり気に入らない政宗。

そこは仕方ないと我慢していたが
嬉しそうに握手する愛花にイラッとし

『おーい。いつまでやってんの？
愛ちゃん、早く仕込みしないと
高校生の帰りが遅くなるよー！
プロの味を桜奈も詩織も
楽しみにしてるから、食べてから
帰ってもらわないと、だろ？』

『あー、ごめん、ごめん。って！！』
やっとシステムキッチンをまじまじ眺める愛花は

『ねぇ、聞いた以上に凄くない？
このキッチン！！
何、この贅沢な作り。』

『だろ？俺の自慢』とドヤ顔する政宗に
なんだかイラッとしてしまった愛花。

（チッ、小生意気な奴め！）と
政宗をジロっと睨むと

『あんた、親に甘え過ぎじゃない？』
と、羨ましい気持ちと悔しいと気持ちが
混じり、悪態をついた。