第20章 〜それぞれの道〜
精算の為に、レジに並んでいるところに
桜奈が戻ってきた。
『政宗さん、これもお願いします!』
と、カゴの中に入れたのは
白玉粉にきな粉に黒蜜
『あー、そうだな。必要かも』と
言う政宗に、『ですよね!』っと
にっこりする桜奈。
そして、ツンとしながらも
心なしか嬉しそうな家康。
詩織だけは、キョトンとした顔をした。
(焼肉に使うわけじゃないしねぇ
桜奈が和菓子でも作るのかしら?
まっ、何ができるかお楽しみにしとこ)
と、あまり気にしていなかった。
桜奈は、甘いものが苦手で
唯一好きな甘味がきな粉持ちだと
言う家康の為に、白玉きな粉と黒蜜を
かけた甘味を作ろうと考えた。
自分達のデザートは政宗が作ってくれるが
家康は、きっと食べないと思い
家康用のデザートを用意してあげようと
思ったのだ。
お互いに勘違いしたままの
キス未遂事件。
家康は、ドン引きされたのでないかと
内心不安だった。
(あれ、俺の為の材料だよな?
気遣いしてもらえるってことは
まだ、軽蔑はされてないって
ことだよな・・・)とホッと
胸を撫で下ろした。
桜奈も、カゴに入れた材料を見て
少し嬉しそうに見えて安心した。
(気まずかったけど、家康さんは
普通だ。私だけがやたらと意識してた
だけだ・・私が普通にしてたら大丈夫)
入れ違いでバイトに来た時は
バイト前だと言うのに、疲弊し
落ち込んでいるようにも見えた
桜奈が家康の顔を見てホッと
していることに気づいた詩織。
(なーんだ、いつも通りに戻ってる
何があったかは知らないけど
とりあえず、良かったよ)