第20章 〜それぞれの道〜
元々、微妙に馬の合わない
栞と家康だったが、そんな二人も
桜奈が大好きと言う点で
同志であり、ライバルでもあった。
だからこそ、家康の悲しみも寂しさも
想いも他の誰より栞が一番、分かっていた。
家康が願って止まない未来が
今、ここにある。
栞の生まれた時代に生まれ変わりたいと
言った桜奈。
その時代に続くように、泰平の世の為に
尽力した家康。
戦国時代と現代の桜奈の
両方と出会い、時間が経つ程
目の前の妹が生まれ変わった
桜奈ではないかと
言う憶測は、栞の中で
確信に変わっていく。
二人の願いも想いも叶ったのだと思うと
嬉しさがこみ上げたのだ。
今のところ、現代の家康と
桜奈の恋の行方は、見届けることは
できないだろう。
それでも、二人が再び出会うのだと
分かっただけで、きっと家康には
支えになるはず、そんな想像を
ぐるぐると巡らせ、ニヤついていたのだ。
『お、お姉ちゃん?・・』
不気味な笑いでニヤつく栞に
(な、なんかちょっとだけ、こわいよ?)
とひいてしまう桜奈。
桜奈に声をかけられ
はっと我に返った栞は
自分の顔がゆるんでいることに気づき
『あっ、うん!楽しみにしてて!
じゃ、そろそろ寝よっか』
と、緩んだ頬を両手ですりすり
しながら誤魔化した。