第20章 〜それぞれの道〜
『ん?何で、偽桜奈さんなの?
私から見たら、どっちも生まれ変わり?って
くらいにそっくりなんだけど』
(ん?どう言うこと?)
『あっ、いや、何でもないよ!何となく
そう思っただけだから、気にしないで、ね!』
(もう、こう言うとこが顔に出るとか天然って
言われるとこなんだなぁー、はっー)と
自分に呆れてしまう桜奈は
必死に誤魔化した。
『なに、なに、気になるー!
自分を偽桜奈さんだって言うくらいだから
あっー!もしかして、隣の彼が気になるとか?
だよねー、年頃の若い子が一つ屋根の下なんて
少女漫画のあるあるじゃない!
しかも、名前が前世と同じなんて
もう、運命としか思え・・・』
恋バナ妄想を繰り広げていた栞は
ギョッとした。
沈んだ色の桜奈の瞳から
涙が一雫零れ落ちたのだ。
『あ、あれ?ど、どうした?なんで
泣くの?ごめん、お姉ちゃん何か
まずいこと言った?えっ?あっ?えー』
とあたふたする栞。
『ご・・めんね、気に・・しない・・で』
一度、溢れた涙は、拭っても拭っても
ポロポロと溢れてくるようにみえる。
桜奈の様子から、揶揄い半分の
冗談のつもりだった、冷やかしは
冗談では済まされないものだと
悟った栞。
(えー、冗談のつもりだったのに
家康君のこと、好きってことー!
えー、それで、なんで泣いちゃうの?)
栞は、夕食の時の雰囲気から
家康も桜奈を好きなのでは
ないかと感じていた。