第20章 〜それぞれの道〜
『えっと、今年の11月15日は・・』と
スマホでカレンダーを調べる鷹介。
『おっ!丁度、日曜日だ。
よし!じゃぁ家族みんなで、栞の見送りと
桜奈の誕生日祝いを兼ねて
最初で最後の家族旅行に行こう!!決めた!』
と嬉しいそうに笑った。
『桜奈のお誕生日祝いかぁ、いいね!
お祝いしてあげられるのは、最初で最後になる
だろうし・・うん!姉として素敵なプレゼント
用意してあげたい!ママに相談してみるよ』と
栞もまた、嬉しいそうに満面の笑みを見せた。
栞には、あるアイデアが思い浮かんでいた。
(ああ、明日から、デザイン考えるの
楽しそうだなぁ。その前に、ちょっと
勉強しなおさなきゃね!
半端なものは作りたくないし!
そうと決まれば、明日からに備えよう!)
ニコニコしながら
『じゃ、パパ、今日はもう寝るね。
お休みなさい。旅行楽しみにしてる。
わがまま聞いてくれて本当にありがとう』
と頭を下げる栞の
頭をポンポンと撫で
『うん、お休み。パパも楽しみにしてる』
そう言って部屋を出て行く栞を見送った。
(ああ、また嫁に出す気分だなぁ・・・
寂しいけど、信長さんの事を思い出してる
栞は、本当に嬉しそうだ・・・
心配は尽きないけど、信じるしかない。
ただなぁ相手が誰でも、娘を持ってかれるのは
なんだかなぁ・・・桜奈もいずれ誰かに
持ってかれるのか・・・はっー・・)
ため息をつきながら、ガクッと肩を落とす鷹介。
そのしょんぼりする姿はいつの時代も
父親にとって、娘の存在は
特別なのだと物語っているようだった。