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また、恋してくれますか。

第20章 〜それぞれの道〜


もはや、栞にはさっぱり理解できない話が
続いたが、鷹介は、自分の世界の中に
完全に入ってしまっていた。

頭に沢山の『?』マークを浮かべて
いるかのように、ひたすらキョトンとし
自分を見つめる視線にΣはっとする鷹介。

『あー、ごめん、ごめん。パパの悪い癖だ
研究の事になると、つい我を忘れてしまうよ
ハハハ、面目ない』と頭を掻いたが

嬉しいそうに微笑む栞は、ふるふると
首を横に振り
『パパと佐助君が研究に没頭してる姿が
そっくりだなぁと思って。楽しそうに見える。
たぶん、信長様も佐助君に次にワームホールが
開く日時と場所を私みたいに聞いてると
思うんだ。だから、京都に迎えに来てくれる
と思う。私と信長様が初めて出会った本能寺に』

何故か分からないが、栞はそう確信できた。
二人が初めて出会った場所に
今度は、両親に認められ、背中を押され
帰って行けると思うと、たまらなく嬉しく
なる自分がいた。

幸せそうな笑を浮かべる栞の姿に
嬉しくなる自分と
どうか、今回も無事にピンポイントで
栞の望む場所に戻って行けるようにと
願わずにはいられない鷹介。

研究者であるが故に、ワームホールの
不安定さも、何が起こるか分からない
危険性も鷹介は誰よりも分かっていた。

これまでが、上手くいったからと言って
確実な理論も実証もあるわけではない。
娘を危険に晒すなんて、本当なら
恨まれても止めるべきなのかも
知れない。

しかし、それでは娘の想いも幸せも
無視することになる。
娘を守りたい想いと娘の幸せを願う
狭間で揺れる鷹介の心。

その葛藤を抱えながらも
娘の選ぶ道を尊重しようと言う
気持ちに変わりはなかった。
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