第20章 〜それぞれの道〜
『その佐助君?は、ワームホールの
研究者仲間内でも、将来有望な学生って
言われてた子だと思うんだ・・。
丁度、栞と同じ頃に行方不明になって
一時、騒がれてたよ。
もしかしたら、自らワームホールを
試して、タイムトラベルしたのかもって・・・
詩織の手紙で、やっぱりそうかって
確信したけどね。
そうか、僕のご先祖様かも知れないのか。
不思議なものだね。
その彼が、想いが関係してると
言ってたのか・・』考え込む鷹介。
『う、うん、そう。私と信長様は
出会うべくして、出会ったんじゃないかって。
ワームホールは私と信長様が
共にいるところに開くって・・・』
(ああ、やっぱり佐助君、優秀な研究者
だったんだ、忍者になるとか、凄いもんな・・)
『なるほどね・・・
実はね、まだはっきり証明はできてなくて
仮説の段階でしかないんだけど。
ワームホールは、波動のような動きをする
まるで、呼吸でもしているように
活動期と停滞期をこう、波打つように
繰り返しているんだけど』と
手振りを交えながら、説明を始めた鷹介。
そして何やら、スイッチが入った。
『実際に活動といってもワームホールが
開く程の大きなエネルギーではなくて
毎回、開く訳じゃないんだ。
けれど、栞の件も含めて、確実に開いたと
思われる波形の事例が何件かあって
そこまで、エネルギーを膨大なものにする
要因もまだ解明できてない。
磁場の急激な乱れの他にも要因があるのかと
研究を重ねてるところでね。
でももし、そこに人の強い想いと言う
目に見えない不確定要素が関わってるなら
素粒子物理学の分野でのブツ・・ブツ・・
重力が・ブツ・ブツ・・』