第20章 〜それぞれの道〜
『で、問題のワームホールなんだけどね。
ちょっと、これ見て』と、栞にパソコンの
画面を見るように促した。
カチカチとマウスを操作しながら
『ここが、栞が向こうに飛ばされた時
こっちが荷物を飛ばした時
で、これが今回戻ってきた時』
定期的に山を描いたグラフは
栞や荷物を飲み込んだ時だけ
大きな山を描いていた。
『で、ここから予測すると・・』と
カタカタとキーボードを打ちながら
話す鷹介。
『次にワームホールが開く予測日は
3ヶ月後の11月15日だね。
11月15日か、桜奈の誕生日だ。
場所は、また京都の可能性があるね』
『えっ、その日って桜奈の誕生日なの?
あー、そんな大事な日と重なるなんて
京都か、また本能寺跡地かな?』
『どうかな、時間も場所ももう少し細かな
計算をしてみないと分からないけど・・
最初に向こうに行った時
飲まれた場所が本能寺跡地でだったのか?』
『うん、そう。それで、気付いたら
あっちの本能寺にいたの。
本能寺の変、真っ只中だったけどね。』
『そうだよな、そう思うと、本当に
無事で良かったよ。信長さんを
助けた縁がなかったら、今頃どうなって
たのかって思うと、ぞっとするよ。』
(普通に考えたら、不安要素しか
ないんだけどな、時を超えてるのも
戦の時代に帰すのも・・・)
『佐助君は・・あっ、一緒に
飛ばされた現代の人ね、ちなみにたぶん
パパのご先祖様になった人で
古文書を残した人ね。
その、佐助君が言うには
私と信長様の想いが関係してるんじゃ
ないかって言ってたんだよね。私には
よく分からないけど・・・』