第20章 〜それぞれの道〜
部屋に戻る途中『栞、ちょっときて』と
千里に声をかけられた。
『何?』と千里の元へいくと
『これ、あなたが着てきたお着物
クリーニングから戻ってきてるわ。
あとね、お着物脱がせるた時に
これが、懐に入ってたから
はい、これ。綺麗な櫛ね。
信長さんからのプレゼント?』
と、渡されたのは桜奈が
家康から送られて、後生大事に
していた、紅葉柄の細工の櫛。
『ああ、良かった。
あとで聞こうと思ってたの。
時を超えた時に、失くしなりして
たらどうしようって、不安だったから
ホッとしたわ!ありがとうママ。
これね、桜奈さんの
形見なの。私の宝物なんだ。』
大事そうに、両手で包み込み胸に当て
安堵する栞。
『あら、それは大切しないとね。
でも、不思議よね。これ500年前の
ものってことだものね。そう言えば
栞の話に聞き入っちゃって、帰る話の
相談できなかったわね』
『うん・・でも、たぶんすぐには
ワームホール開かないと思う。
手紙を送れた時は、向こうにいってから
3ヶ月経ってたから・・・』
(すぐには、帰れないよね・・)
『そうだったわね。パパ、書斎で仕事してるから
部屋に戻る時、お茶持っていってくれる?
ついでに相談だけでもしてみたら?』
『分かった、ちょっと相談してみる』
そう言って、千里に頼まれたお茶をもって
鷹介の元に向かった。