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また、恋してくれますか。

第20章 〜それぞれの道〜


だが、もしそれが本当であっても
こうして縁があってほんの束の間 
側にいられ、楽しく過ごすことができた。

それは、桜奈さんになりたかった
誰かさんを哀れんだ、神様の気まぐれで
起こった偶然の出会いかも知れない。

気まぐれでも、偶然でも家康と出会い
共に過ごした日々は
かけがえのない時間だった・・。

たとえ、片想いでも、結ばれなくても
自分が想い続けるのは、自由のはず。

痛みも切なさも、やるせなさも
届かない想いを抱き続ける限り
支払わなければならない心の対価。
それでもいい、今はこの気持ちを
抱いたままの自分でいたい。

(きっと、この気持ちは変わらないし
消えてくれる気がしない・・だとすると・・)

『はっ〜、下手したら一生独身かも〜・・』

そう、呟いた桜奈だったが
自身に呆れる表情とは裏腹に
気持ちは、とっくに定まっていて
揺らぐ気はしなかった。

浴室に続く洗面所で、シャカシャカと
歯磨きをしていた栞。

ポチャン・・チャプン・・
桜奈が入浴している水音と
ついで聞こえてきたのが

一生、独身宣言!?とも受け取れる呟き。

桜奈は気づいていなかったが
呟きにしては声が大きく、しかもエコーが
かかっていた。

シャカシャカしながら、ギョッとし
浴室の方に顔を向けた。

(ん?聞き間違い?誰のことだろ。
まさか、自分のこと?
あれ、桜奈何歳?
私と20違うから、げっ、まだ17じゃない。
そんな若さで独身宣言?なんでっ?・・)

桜奈の呟きの真意がわからない栞
だったが、歯磨きを済ませて、先に桜奈
部屋に戻った。
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