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また、恋してくれますか。

第20章 〜それぞれの道〜


桜奈との出会いが、運命だと感じるほど
特別なものだったとしても、この先の道は
お互いに全く違う、もう交わる事もない
道が延々と続いて行く。

それはどうにもできない
どうにかすることも許されない道。

(家を守る為か・・俺も同じなんだけどな
一緒に守って行く人が、違うだけ・・
俺が選んで、俺が決めたことだから・・)

何度、今更と思ったことだろう。
その度に、何度もいい聞かせ
押し殺してきた桜奈への想い。

だが、この胸の痛みからも
締め付けられるような苦しさからも
もうすぐ解放される。
何故なら一緒に過ごせるのはあと数日。
それが過ぎれば全て終われるはず・・・。

後戻りのできない家康のせめてものいい訳。
執着する自分を諫めるための大義名分。
どんなに、尤もらしく自分に
いい聞かせたところで、痛みも苦しさも
今すぐ消えてなくなるわけでもない・・・。

別れの日が1日また1日と迫るほどに
やるせなさだけが、家康の心には
降り積もっていく。

切ない瞳で、でも愛おしそうに
桜奈を見つめる、家康の視線に
気づいたのは栞。

その瞳と同じ輝きで、愛しい人を見つめる
人の姿をかつて何度も目にしてきた。

(ん?家康君、もしかして・・・桜奈のこと
ああ、でも家康とは違うから判断つかないけど
桜奈さんを見つめる時の家康まんまな
気がする・・・)

確証は、持てなかったが家康が
桜奈に想いを寄せているように感じた。
それは、戦国時代の二人を見てきた
栞だからこそ分かる感覚でもあった。
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