第20章 〜それぞれの道〜
栞の話を聞いても、慌てて取り繕った
その場しのぎにしか聞こえなくなり
信じられなくなる桜奈。
盲信と言ってもいいほど
特別な思い入れを持ってコツコツと
詳しく調べあげ知っているつもりだった。
調べて知っているだけに
一度、感じてしまった不信は
徳川家康対するイメージダウンを
加速させていく。
自分の都合のいいように解釈していた
だけだったと、ガッカリ感は癒えないまま
落ち込む気分に飲まれていった。
それくらい、桜奈にとっては
《特別》で惹きつけられてやまない存在が
徳川家康だったのだ。
『もう、いいよ・・・お姉ちゃん。
無理にフォローしてくれなくても・・・
感じ悪い、捻くれ者なんでしょ?
徳川家康のことは、大好きだから
調べて知ってるもん。
狸親父とか呼ばれてたけど
私は、人の裏をかけるほど賢い人
だから、僻まれてそう言われたのかと
思ってた・・・
でも、それだって私がいいように
解釈してただけなんだね・・・
本当は、感じ悪い、腹黒な人だから
奥さんのことは想ってたかも知れないけど
奥さんが亡くなる前から、狙ったみたいに
側室迎えて子供作ってなんて、平気でできる
不誠実でずるい人だったんでしょ。
あー、もう本当にショックだなぁ・・
絶対、誠実で優しい人だって思ってたのにな』
(想い描いてた人と、全然違ったなー)
がっくり項垂れ、今にも泣きそうな
顔をする桜奈。