第20章 〜それぞれの道〜
家康の言葉に、千里と鷹介は
(あー、家康君、桜奈の徳川家康好きを
甘く見てたんだなぁ・・・)と、やはり
苦笑いしか出てこない。
そんな家康に、むぅっとしながらも
桜奈の中にあった
白馬の王子様的な徳川家康像が
ガラガラと音を立て崩れ始めていた。
桜奈が徳川家康の性格に
誠実さを求めたのは
側室が20人以上いた、ただの女好き
武将だなんて思いたくなかったから。
誠実な性格でだけど、きっと理由があって
沢山の側室をもったに違いない
そう擁護したい気持ちがあったのだ。
(でも、性格に難ありなら、やっぱり
ただの女好きだっただけじゃんね・・・)
あからさまにがっかりし、しゅんとする
桜奈をみて千里が言っていた事を
思い出した栞。
(『徳川家康への愛が止まらないんですって』
とか言ってたわ。そうだ!あの部屋見ても
どうみても徳川家康の大ファンだわ?
えっ?もしかして佐助君レベル?
あちゃー、それはまずい。)
と、家康の印象を、正直に言っただけなのに
大失言した気分なる栞は、慌ててフォローした。
『ああ、うん。そうね・・確かに
天邪鬼で捻くれ者だけど・・・』の
言葉に、また悪口?と言いたげに
今にも泣きそうな顔で
パッと栞を見る桜奈。
(うわ!泣きそうじゃない、まずいっ)
『で、でもね、家康にもいいところは
あるのよ!もう、桜奈さんへの
愛だけは昔も今も、揺るがない人だよ。
そこだけは間違いない。私が保証する!』