第20章 〜それぞれの道〜
お昼寝から覚めかけ
ウトウトしていると遠くで
わいわい、と賑やかな雰囲気がしている。
うーん、と寝返りをうちながら
まだ、微睡の中に意識をおく栞。
『家康さん、辛さはあのくらいで
大丈夫でした?』
『うん、俺好みの辛さだね・・』
『そうですか、良かった。』と
微かに聞こえた気がした家康と桜奈の会話。
(あー、また辛くしてるんだ、家康ってば
相変わらずよね・・・桜奈さんも
家康に甘すぎるのよね、全く・・)
微睡の中で、在りし日の桜奈と
家康が、あたかも二人で仲睦まじく
料理でもしている錯覚に陥る栞。
(桜奈さん・・・?)
パッと目を開けたが、窓の外は
日が暮れ微かなオレンジ色の
光がみえる。
部屋の中は、薄暗くなっていて
今何時なのか、自分が何処にいるのか
一瞬、分からくなる栞。
桜奈の机やベッド、ハンガーにかけて
ある制服で、自分が何処にいるのか
思い出した。
(あっ、そうか・・・ここ、現代だった)
夢の中で聞こえた、家康や桜奈の声に
戦国時代の家康の御殿で過ごした日々が
蘇ってきた。
(懐かしいな・・・)
布団から半身を起こし、膝を抱えて
思い出をなぞる栞。
すると、コンコンとドアがノックされ
『お姉ちゃん、起きてる?』
と、桜奈がそっとドアを開けた。
薄暗い部屋に、薄ら差し込んだ夕日を
受けた桜奈の姿は、いまの今まで
戦国時代の桜奈を思い出していた
栞には、やはり戦国時代の桜奈に
しか見えなかった。
目を見開くと、また瞳からは勝手に涙が溢れ
両手で顔を覆う栞。