第19章 〜祈り〜
『そうなるのかしらねぇ。
その佐助と言う方の文献の中に
織田信長の妻は時を超えてやってきた
『栞』と言う名前の人だって言う一文を
見つけてしまって・・
貴方が生まれた時に私も鷹介さんも
『栞』と言う名前だけはどうしても
避けようと思ったわ。
夢にみて、名前まで一緒になったら
もう、避けようのない運命だって
言われているようで、怖かったわ・・
だけど、皮肉なことに、名前の候補から
外して欲しいとお願いしたことが
返っておじいちゃんやおばあちゃんの
印象に残ってしまってね。
信憑性もないただの私の夢を根拠に
せっかく選んでくれた名前を断れきれなかった。
私も鷹介さんも、ただの夢だって
その頃は思い込みたい気持ちも手伝って
結局、文献と同じ名前になってしまったの』
(本当に、最初から決まっていたみたい
だったわね・・)
『佐助君は、文献に私の名前を
残してたんだ・・・
そうだったんだ、私、そんなこと
全然知らなかった・・』
千里から聞く初めての話の数々に
もはや、脳内大混乱の栞だったが
『じゃ、佐助君の文献がきっかけなら
もしかして、パパの研究してる
内容って、まさか佐助君と同じ・・
ワームホールなの?』
『ええ、パパは、ワームホールの研究者よ。
だから、栞が望むなら凛桜ちゃんの元に
帰る手がかりが、パパにならわかるかも
知れないわ。パパに相談してみましょう。』