第19章 〜祈り〜
千里は、コクッと頷いた後
『夢で告げられた通り二十歳になった
貴方は忽然と姿を消して
行方がわからなくなったわ・・
夢の中の人が言った通りに貴方は
連れて行かれてしまったと
ママには、そうとしか思えなかった。』
『・・・そう・・だったの』
(信長様とは、生まれる前から
出会うことが、決まってたってこと・・?)
にわかには、信じ難い千里の話に驚く栞。
だが、自分が時を超えた理由もまた
分かった気がした。
『もともと、鷹介さんが今の研究の道に
進むことにしたきっかけが、上杉の実家の蔵で
見つけた古文書に夢中になったから
らしくてね・・
上杉家は、上杉謙信の末裔なのだけれど
上杉謙信の跡を継いだ佐助と言う方が
色々な文献を残していたらしいのよ・・』
『佐助君が!?』
(研究好き、歴史好きの佐助君なら
確かに、色んな事を書き残しそうだけど
えっ?待って、じゃなに?佐助君が私の
ご先祖様になるの?)
『そう、栞の手紙でもあった、栞と一緒に
向こうに行った学生さんと同じ名前
だったからママも、もしかしてと思った』
『うん、佐助君はワームホールって言う
時空を超えるトンネルみたいなものの研究を
していたらしくて、佐助君のおかげで
手紙も荷物も送れたし、今回もこっちに
戻って来ることができたの・・・
佐助君は、謙信さんの家督をついで
今は上杉家の主になってるわ。
でも、まさか、佐助君が私のご先祖様なの?』