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また、恋してくれますか。

第19章 〜祈り〜


時間として語れば、信長も凛桜も
遠い昔の歴史上の人物にしか過ぎず
現代には存在などしているはずもない。

けれど、栞の中では確かに
あの時代のあの時間の中に今もちゃんと
大切な人達は存在し、日々生活しながら
今日も変わらず生きている。
そう思うことに、何の疑いすら感じない。

今の栞には、自分が現代にいることが
嫁ぎ先から実家に帰省しているような
感覚にしかならなかった。

ただ、帰る術がなく途方にくれている。
そんな心境だった。

千里に入れてもらったお茶の湯飲みを
両手でそっと、包みこむようにしながら
愛しい人達に思いを馳せる栞。

そんな栞の憂い漂う瞳に
千里まで切なくなって行く。

『私に孫がいるの?
そう、もう15歳にもなるの?
会ってみたかったわ・・・
でも、栞が幸せに過ごせていたのなら
ママは、それだけで十分よ。
きっと鷹介さんも同じ気持ちのはずよ・・・』

『うん、ありがとうママ』
力なく微笑む栞。

『ねぇ、栞。凛桜ちゃんと信長さんの元に
帰れるなら、帰りたいわよね?
栞は、鷹介さんが何の研究してたか
知ってる?』
(夢が現実になるのが恐くて、栞には
鷹介さんの研究も夢の話もしないように
してたから、きっと知らないわね。)

『そう言えば、良く分からないかも。
大学の先生ってことくらいしか、パパの
仕事のことは知らない・・』
(研究?パパは何かの研究者なの?)
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