第19章 〜祈り〜
そんな視線に気づいた信長は
『桜奈さんも、ありがとう。
家康が本当に世話になったみたいで。
あいつが、楽しそうにしてる姿を
久しぶりに見た気がする。
素直じゃないから分かりにくいがね。』
素直じゃないの言葉に思わず、頷き
かけた自分にクスッとしながら
『いえ、いえ、お世話してもらったのも
楽しかったのも私の方です。
私、家康さんに、迷惑ばっかりかけて
しまって、呆れられてたらどうしようって
思ってたんですけど・・・
でも、先生から家康さんがそう
見えていたなら、嬉しいです。』
とホッとするように、にっこりする桜奈。
(良かった、予定より早く引越し決まったのは
本当に気に入った物件が見つかったからだって
思っていいよね?・・・)
そんな桜奈の話を聞き
家康が桜奈に惹かれた理由が
分かった気がした信長。
伝わってくる、桜奈の純粋で
温かくて優しい雰囲気。
守ってあげたくなるようでいて
実は、自分の方が桜奈から滲み出る
空気に包まれて、ホッとする感覚になって行く。
(なるほど、癒されていたのは家康の方か・・)